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相続時に胎児や未成年者がいる場合には、通常の相続手続きとは少し違った手続きが必要となります。それぞれの場合に分けてみていきましょう。
胎児は既に生まれたものとみなされます。
原則として、被相続人が亡くなられたときに存在していない方は相続人とはなりません。例えばすでに亡くなっている方は、相続人とはならないということです。
その例外として、胎児に関する規定があります。胎児には例外的に相続する権利があるとされているのです。そして、胎児が無事に生まれてくれば胎児も相続人となります。しかし、もし残念ながら死産となった場合には、その権利を失うこととなります。
民法886条
1.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2.前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
それでは、胎児がいる場合の相続手続きについてです。
胎児がいる場合、その子が生まれてくるまで遺産分割協議ができません。なぜなら、胎児が生まれてみないと、だれが相続人になるのか確定しないからです。もちろん、胎児が無事に生まれてくれば、生まれた子は相続人となり、遺産分割協議ができます。
しかし、遺産分割協議をするにあたり、生まれてきたばかりの子は判断も出来なければ、まだ言葉すらわかりません。そのため、未成年者がいる場合の手続きが定められています。続いて、下記の未成年者がいる場合の相続手続きをご参照ください。
相続手続きには特別代理人が必要です。
相続人の中に20歳未満の子がいる場合、相続手続きを進めるためには代理人が必要となります。
通常、このような未成年者の代理人には親等の親権者がなるのですが、相続手続き中の遺産分割協議においては、その親権者も相続人であり、子と利害が対立してしまいます。その場合には親等の親権者は代理人にはなれません。
わかりにくいと思いますので、具体例でみてみましょう。例えば、「父・母・子(5歳)の3人で暮らしていたところ、父が突然亡くなった」。このケースで考えると、まず相続人は母と子です。子には代理人をつけなくてはなりませんが、もし母が代理人となったとすると、1人だけで相続財産のすべてを自分のものにしたりと自由にできてしまいます。皆すべて子を思う方々ばかりだと良いのですが、そうとは限りません。
法律では、子の権利を守るため、このように利害が対立する場合には親権者が子の代理人となることはできないよう規定されています。
ではその場合、誰が代理人となるのでしょうか?
それは、家庭裁判所に未成年の子のための「特別代理人」を選任してもらいます。この特別代理人には、通常相続人でない親族(叔父、叔母等)が選任されますが、弁護士や司法書士等の法律の専門家が選ばれることもあります。また、例えば未成年の子が2人以上の場合には、それぞれ別々に選任する必要があります。
家庭裁判所へ申立てをしてから審判が下りるまでは、約1〜2か月かかります。
その後は、特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議書へ署名押印することになります。そして、相続財産に不動産がある場合には登記をすることになりますが、この相続登記申請手続きも特別代理人が未成年者に代わって行います。また、この相続登記手続きには特別代理人の印鑑証明書が必要となります。
1.申立人となれる方
2.申立先
子の住所地の家庭裁判所(裁判所の管轄はこちら)
3.申立てに必要な費用
4.申立てに必要な書類(標準的なもの)
先ほどのとおり、遺産分割協議をする際に未成年者の相続人がいる場合、特別代理人の選任が必要です。しかし、特別代理人を選任せずに遺産分割協議と行った場合、いったいどうなるのでしょうか?
この場合、遺産分割協議は無権代理行為(※)として無効となります。ただし、未成年の子が20歳になった後に追認すれば有効となります。
※無権代理行為:権利がない人が代理人として行った行為
つまり、時が経ち、その子が成人した後に、「私が未成年のときに行われた遺産分割協議は無効だ!」と主張すると、そのとおり無効となってしまい、遺産分割協議をはじめからやり直さなければなりません。
そのようなリスクをかかえないように、家庭裁判所を経た正式な手続きをとられることをお勧めいたします。
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