こちらでは不動産名義変更に関する基礎知識をご案内しています。
分からない言葉や手続きがございましたらぜひ参考にしていただければと思います。
これまでご覧いただいたとおり、土地・家・マンション等の不動産を所有している方が亡くなると、その名義変更(相続登記)が必要となります。このような場合、登記の専門家である司法書士に手続きを依頼すれば楽で確実ですが、自分でやりたいというお話も伺います。そのような方のために、こちらのページでは、司法書士に依頼せずにご自身で相続登記をする方法をご案内いたします。
まずは全体の流れを把握しましょう。
相続登記手続には、「書類の収集」「書類の作成」「法務局への申請」という手続が必要となります。主な手続きの流れは以下のとおりです。
名義変更の対象となる不動産の権利状況等を確認します。
戸籍謄本等を収集し、相続人を調査・確定します。
固定資産評価証明書や住民票等の書類を収集します。
集めた書類を元に、遺産分割協議書等の書類を作成します
相続人全員で遺産分割協議書に署名押印します。
申請書を作成し、集めた書類とともに法務局へ申請します
相続登記をするには、まず対象不動産の権利状況を把握しなければなりません。そのためには、現在の登記簿(登記事項)を調べる必要があります。
登記簿の状況を調べることによって、手続きにどんな書類が必要かがわかります。
例えば、よくある事例として、土地も建物も全て亡父親名義だと思っていたが、調べてみたら土地はだいぶ前に亡くなっていた祖父の名義のままだったということもあります。3,4世代前の祖先の名義であることや、明治時代から名義が変わっていないなんてこともあります。
また、遺産分割協議書や登記申請書の作成にも、不動産の詳細な情報が必要となります。相続登記の手続きをするために、まずは名義変更の対象となる土地、建物の登記事項証明書の取得し確認しましょう。
登記簿(登記事項証明書)とは、登記簿に記録された事項を証明したものです。不動産の地番や地積、所有者に関する事、抵当権などの担保に関する事などが記載されています。
登記簿謄本(登記事項証明書)を取得する方法は2つあります。
①法務局で取得する方法
②インターネットで取得する方法
ご自分で不動産名義変更をされる方には1つ目の方法をお勧めしています。2つ目の方法は、「登記情報提供サービス」のサイトを利用するのですが、事前に登録が必要であったり、クレジットカードの登録が必要であったりと時間がかかります。(※現在は登録なしの一時利用もできるそうです。)また、法務局へ行けば窓口の方と相談しながら登記簿謄本を取得できるので、取得漏れ等の可能性も少なくなります。法務局は全国どこの法務局でも対応できるので、お近くの法務局へ行けば大丈夫です。
お近くの法務局はこちらから検索できます。
登記事項証明書の取得には、土地であれば「地番」、家屋・建物であれば「家屋番号」を調べる必要があります。地番とは住所と異なるものなので注意が必要です。
●地番・家屋番号を調べる方法
権利証や古い登記簿謄本などが手元にあれば、地番や家屋番号が記載されています。また、それらがなければ、毎年届く固定資産税納税通知書の明細書にも土地、建物の情報が記載されています。どちらもないという場合には、法務局で住所から地番を検索し調べることもできるので、ご安心ください。
登記事項証明書の詳細はこちらをご覧ください
相続による不動産の名義変更には、原則として法定相続人全員での手続きが必要になります。法定相続人とは、法律で決められた相続人のことです。法定相続人については下記のページよりご確認ください。
相続登記をするために、誰が法定相続人なのかを調べる必要があります。そのために、戸籍謄本等を収集し、手続に関与しなければならない相続人全員を確定させるのです。
まずはじめに、亡くなられた方の本籍地がある市区町村役場で戸籍謄本を取得します。
最終的に、「亡くなられた時」から「出生」に遡る全ての戸籍謄本が必要となります。
結婚前の親の戸籍に入っていたものや、さらに上の代の戸籍謄本、場合によっては養子縁組先の戸籍まで必要になることもあります。とにかく、生まれた時に入っていた戸籍まで遡ることになります。
また、戸籍の種類には、いくつかあります。
●戸籍の種類
上記の書類がそれぞれ1通ずつ必要というわけではありません。人によっては除籍謄本も改製原戸籍も複数必要になります。ただし、書類の名前はあまり気にせずに「出生から亡くなるまでの戸籍謄本」と役所で請求すれば問題ないでしょう。
次に、各相続人(「子」「親」「兄弟姉妹」)といった法定相続人全員の戸籍謄本が必要となります。その相続人が既に亡くなっている場合には上記と同様に「出生から亡くなるまで」の全ての戸籍が必要となります。法定相続人全員の戸籍謄本が揃うまで、戸籍を集めなければなりません。
なお、1か所で全ての戸籍が集まることはまれです。人によっては生まれてから亡くなるまで同じ市町村に本籍を置いていることもありますが、結婚や養子縁組、住所移転に伴い本籍地を変更(転籍)している場合がほとんどです。
その場合には、最後の本籍地から順に戸籍謄本を取得・解読し、その前の本籍地に戸籍謄本を追跡していくことになります。それが遠方の役所となる場合もあるでしょう。その場合には、各役所へ郵送請求をすることも可能です。
相続による不動産名義変更手続きには戸籍謄本以外にも必要な書類がございます。
●その他の必要書類
一般的には上記の書類が必要となりますが、事案によっては追加で必要なものや、不要となるケースもあります。ご自分で手続きされる場合には、書類がある程度集まった段階で法務局の相談窓口へ持参し、確認されると良いかと思います。
必要書類の収集を終え、相続人が確定したら、書類の作成に入ります。
一般的な手続きとして作成が必要になるのは「相続関係説明図」と「遺産分割協議書」です。
相続関係説明図は被相続人と相続人との関係を略図化した家系図のようなものです。
遺産分割協議書は相続人間で遺産をどう分けたかという協議を書面に残すものです。
それぞれ、特に決まった書式はありませんが、最低限必要な記載事項はあります。
故人の遺産については、相続人全員の話し合いによってどの財産を誰が相続するか決めることとなります。この話し合いのことを「遺産分割協議」と呼び、この遺産分割協議の内容を文書にしたものが遺産分割協議書です。
相続登記の手続きでは、原則として遺産分割協議書が必要となります。
(例外としては、相続人が1名だけの場合や、法定相続分で相続される場合、遺言書がある場合等があります。)
※参考「相続の基礎知識」についてはこちらから
もちろん協議書の作成前に、相続人全員と誰がどの財産を相続するかの打ち合わせを行いましょう。
ここまでくれば、あとひといきです!
④で作成した遺産分割協議書に相続人全員で署名押印を行います。押印は実印で行います。また、手続きには相続人全員の印鑑証明書が必要となりますので、署名押印する際に皆様にご用意いただけるように案内しておくとスムーズかと思います。
また、遺産分割協議書に署名押印するタイミングは、全ての書類が揃い書類を作成した後ですが、実際には先に誰が相続するか決まってから書類の収集を行うことになるかと思います。そして通常は、遺産を相続される方が主導で手続きを進めることになります。手続き開始前に、相続人全員に確認を取ってから進めると後のトラブルとならずに良いでしょう。
遺産分割協議とは、相続人全員での遺産についての話し合いです。
遺産として不動産があった場合には、遺産分割協議により土地・建物の分配について決めます。どのように分配するかは相続人の自由です。
例えば、誰か一人が名義人となっても、何人かが共有することになってもどちらでもかまいません。(ただし、将来のことを考えると権利関係が複雑になりますので、だれか一人の単有とすることが良いかと思います。)また、父が亡くなり相続人が母と子供たちというような場合、母の単独の名義に変更し将来母が亡くなった際に子供達で改めて誰が相続するか決めると考える方も多いですし、母も高齢なので子供(例えば長男)の名義に直接変えることなどもあります。
財産の額が大きい場合には、税務上の判断も必要となりますので、一度ご相談いただければと思います。
いよいよ最後の手続きです。
相続登記に必要な書類が全て揃ったら、法務局へ相続登記を申請します。ただし、申請する法務局は家の近くの法務局やどこの法務局でもよいというわけではありません。名義変更をする不動産の所在地を管轄している法務局へ申請しなくてはなりません。
登記申請をするには収集・作成した書類と合わせて「申請書」を作成し提出します。
登記申請書は不動産登記を申請する際に必要となります。これは収集した書類を元に作成します。法務局にも見本があることもありますが、基本的には申請者が作成する書類になります。
また、登記申請には登録免許税の納付が必要です。一般的には収入印紙で納めます。収入印紙は法務局や郵便局で購入できます。不動産の固定資産評価額の0.4%が登録免許税になります。これは固定資産評価証明書に記載の評価額より算出します。例えば1,000万円の不動産であれば4万円が税金となります。申請書にも登録免許税額の記載が必要です。
※一般的なひな型です。申請内容によっては記載方法が異なりますのでご注意ください。
☆注意点として
1.申請書はA4の用紙に記載し、他の添付書類と共に左とじ(ホチキス留)にする。
2.文字は直接パソコン(ワープロ)を使用して入力するか、黒色インク、黒色ボールペン等(鉛筆、消せるボールペン等は不可)で、はっきりと記入する。
3.ページが複数にわたる場合には契印を忘れずに。
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